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10年に1度の米国国勢調査

2010/7/22

アメリカでは10年に1度、国勢調査局による米国国勢調査が実施されます。米国居住者の人口や実態を把握することを目的にしたこの調査、市民権や永住権保持者だけでなく駐在員などの一時滞在者や不法滞在者も対象となり、今年の春にU.S.Census2010として実施されました。現在調査員が集計していますが、前回実施されたのは2000年。今思い出すと当時私は既に渡米していたものの、まだほやほやで学生としてルームシェアをしていたので「世帯」として見なされなかったのか?はたまた届いていたのに訳がわからずポイしてしまったのか?いずれにしても今回が私にとって初めての国勢調査デビューだったのであります。

U.S.Census2010
(↑届いた国勢調査。・・・DMと間違って捨てそうになりました)

アメリカにおけるマーケティングではターゲットとする“人種”や“地域”を見極めることも重要なポイントで各人種の比率や分布を把握しておく必要があり、個人的にも統計資料として重宝しており調査結果に注目しています。 “ターゲットとする人種”を設定するなんて、アメリカ独特のもので、日本ではあまりピンとこないかもしれませんが、この国勢調査の統計結果を見るとアメリカの実態というものは一般に私たちが思っている想像以上に異なっていたりします。例えば今ではアメリカ中に溢れかえっているように感じるアジア人ですが、2000年の統計結果では実際には全体の3.6%、日本人/日系人に関してはたったの0.3%しかいません。大きな日系コミュニティを抱えるロサンゼルスをはじめニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ等の主要大都市では特にこの実態は感じられにくいものです。(ちなみに米国で色々な意味で問題視されているヒスパニック系人口は12.5%!)

さて、できるだけ正確な統計を取る為、国としてもかなりの力を投入して行われるこの調査。スムーズに国民の協力を得る為アメリカ政府にしてはなかなか珍しい「かゆい所に手が届く」徹底ぶり。封筒や書面にも堂々と「返信が法律により義務づけられています」と半ば脅しのように(?)書かれ、返信がなかった場合には調査員が自宅まで回収に伺うとまであります。テレビの番組やコマーシャル、新聞やローカル誌等で協力を呼びかけ詳細はネット等に誘導する形で、概要や解答記入の方法等、誰にでもわかるよう説明されています。以前のコラムにも書きましたが、アメリカは「サラダボウル」な国で国勢調査の主要目的にアメリカを形成している国民や不法滞在者の“実態”を明確にするということもあり人種にあわせた大がかりな協力要請キャンペーンが行われていました。

日系コミュニティを例に取ると、ローカルの日本語雑誌やテレビでの呼びかけ、日本人居住者が多いとされる地域では日本語のビルボードも堂々と飾られていました。

U.S.Census2010
(↑日系コミュニティ地域にあるビルボード。ちなみにこの女の子、知り合いの娘さんです)

親近感が沸くよう各人種のコミュニティにあったモデルを起用し、詳細もその言語でわかりやすく説明があるのでこれなら移民で英語が得意でない人でも理解できます。(国勢調査日本語ページ) 調査の質問内容も一見難しそうで「む?面倒くさそう」という印象でしたが、やってみると至ってシンプル。
日本語でその内容を説明したものはこちら
http://2010.census.gov/2010census/pdf/LAG_Japanese.pdf
以上のようにたった0.3%の日本人/日系人に対してもこの充実ぶり。

さて、この国勢調査を通しアメリカについて見直したことが1つ。日本の政府機関とは正反対に何かにつけその遅く悪い対応が目立つ米国政府機関、この国勢調査に関してだけは「今までこんなちゃんと対応しているのを初めてみたかも」というくらい見事な徹底ぶりでした。解答用紙を提出したにも関わらず締め切り間際まで何度も「もしまだ提出していなければ」と催促レターが送付され、未提出の世帯には調査員が訪問するとかいいながら「そんな手間なこと絶対しないだろうな」と思っていたら、私の住むコミュニティの同棟のご近所さんたちに何と!本当に調査員が足を運んで要請していました。4月〜5月にかけてご近所さんのドアには調査員が訪問し不在だった際の「はやく提出てしてちょうだい」の催促ノーティスを頻繁に見かけたものです。

アメリカの政府機関にしては珍しくきちんとやっているではないか、と当たり前のことなのにも関わらず感心してしまいましたが、このようにやろうと思えば出来るのになぜ普段一般向け政府関連機関はできない(やらない?)のか・・・?今回のこの素晴らしい徹底ぶりを、是非、他の一般向けの政府機関でも適応してやっていただきたいものです。

但しこの徹底した対応の裏側にはオバマ政権になり移民に対する取締まりが厳しくなった背景もあり、不法移民を排除しようとしつつも、その反面必要ともする米国政府のジレンマが感じ取られる気がします。今回の統計結果が発表される来年には改めて今後のアメリカの課題としてヒスパニック系移民が挙げられるのではないかと思います。こちらについてはまたの機会に改めてお話ししたいと思います。

  このコラムを執筆されている東島麻樹さんが、ライトハウスの人気コラム「アメリカで働く」で紹介されています。
ぜひご覧ください。

東島麻樹さんの紹介記事はこちら

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