内容
近年、製品、工程、事業システムなど、人間が設計する人工物には、機能の多様化、精度の向上、部品点数の増加といった複雑化の傾向が顕著である。その背景には、環境・エネルギー・安全性などに関する規制の厳格化というビジネス環境要因や、洗練化・軽量化・多機能化などに対する顧客要求の増大という市場要因が挙げられる。本稿では、こうした「人工物の複雑化」の時代において、人工物とは設計情報が媒体へ転写されたものであるという観点から、その具現化する特性が設計時に意図されたものであるとし、設計者がどう対応しているかを分析する。21世紀という「制約の厳しいグローバル化」の時代において、日本企業は人工物が複雑化するなか、その産業競争力を維持することができるだろうか。経済学や工学的視点を交えつつ、複雑化する人工物への企業・現場・社会の対応戦略を考える。